スチル1

監督は長編一作目「人はいない」がロッテルダム国際映画祭にて正式出品され、今回が三作目の大内伸悟。

本作は自主製作でありながら商業作品と肩を並べ、第27回「東京国際映画祭」日本映画スプラッシュ部門に正式出品され、第15回「TAMA NEW WAVE」コンペティション部門にて準グランプリにあたる特別賞を受賞。審査員の西ヶ谷寿一プロデューサー(「ディストラクション・ベイビーズ」「私の男」など)と日向朝子監督(「好きっていいなよ。」など)から絶賛された。

主人公の板橋優二を演じたのは柳沢茂樹。木村文洋監督最新作「息衝く」(2016年公開予定)主演、アミール・ナデリ監督「CUT」に出演、近年では水素74%、ワワフラミンゴなど、演劇作品でも多く見られる。

かつての恋人を失い共に暮らしていた部屋や訪れた場所にその影を追う女性・中沢亮子役に細江祐子。山下敦弘監督「バカのハコ船」で鮮烈なデビューを飾り、西村晋也監督「Sweet Sickness」では主人公の姉役を演じている。

その他に、冨永昌敬監督「ローリング」での怪演が記憶に新しい松浦祐也。緒形貴臣監督「子宮に沈める」主演の伊澤恵美子が脇を固める。

商業映画ではなかなか見ることのできないチャレンジングなストーリー展開は観るものを混乱と混沌へ誘い込む。フィクションの新たな側面を追求した作品となっている。

 スチル2

Story

ある夜に起こった幽霊騒動は
やがて生と死が錯綜する異次元へつながっていく

地図を片手に町の変化を記録していく地図調査員の板橋優二。

ある夜、自宅へ帰ると詐欺まがいの廃品回収業をしている友人西田が法外な金額で回収したソファを持ち込み寛いでいた。
そこに、その部屋の”前の住人”だった中沢亮子という女が訪ねてくる。当時、一緒に暮らしていたゴトウという男に会いに来たという。

その直後、西田が優二の部屋で幽霊を見たと騒ぎになる。優二は偶然再会することとなった亮子からゴトウが既にこの世にいないことを告げられるのだが・・。

町、部屋、物に残った過去の時間の手触りはやがて優二を知らない町へといざなう。そこには彼の意思とはまた別の力が働く、現実を超えた世界が広がる。

 スチル3

板橋優二
……柳沢茂樹(「息衝く」木村文洋監督※2016年公開予定)

中沢亮子
……細江祐子(「ばかのハコ船」山下敦弘監督)

西田公介
……松浦祐也(「ローリング」冨永昌敬監督)

立花都子
……伊澤恵美子(「子宮に沈める」緒形貴臣監督)

海老原肇
……富岡大地

ゴトウ(幼少期)
……福岡稜真 他

柳沢茂樹

柳沢茂樹

1976年、長野県御代田町出身。
1999年、ENBUゼミにて平田オリザ氏に師事、俳優活動を始める。
『CUT』(アミール・ナデリ監督)、『横道世之介』(沖田修一監督)、『ネオ桃太郎』(小田学監督)などの映画出演のほか、近年は、水素74%、ワワフラミンゴなど、演劇作品への出演も多い。
主演映画『息衝く』が公開待機中。

→柳沢茂樹公式サイト

細江祐子

細江祐子

2002年 山下敦弘監督の「ばかのハコ船」主人公の中学時代の彼女、小林マドカ役で役者デビュー。
以降 主に自主制作映画に多数出演している。
近年では 2013年 西村晋也監督の 「Sweet Sickness」など。
2016年は Alfa Romeo のI LOVE CINEMA にて 安川有果監督の 「秘密」で主演。

→細江祐子プロフィール(エコーズ)

Staff

監督・脚本・編集:大内伸悟
撮影:安藤広樹 照明:小舟統久
録音:吉方淳二 / 光知拓郎
編集:志村朔 メイク:鈴木啓士朗
助監督:高橋明大 / 井上智博
制作:久延将大 / 松川のりすけ
キャスティング協力:プラスヴォックス
音響効果:吉方淳二 / 横溝千夏

製作・配給:clown film
配給協力・宣伝:細谷隆広
宣伝美術:細谷麻美
宣伝協力:福井哲也

Director's Profile

大内伸悟

2005年多摩美術大学映像演劇学科卒業。

卒業制作として監督した「人はいない」でイメージフォーラムフェスティバル2005入選。受賞後ロッテルダム国際映画祭2006に正式招待され評価を受ける。

2006年「パーク」を製作。イメージフォーラムシネマテークにて上映。その後、商業映画に助監督として数本参加。

本作は7年ぶりの新作。

Director's Comment

この作品は私が幼少期に幽霊を見たことに着想を得ました。

幽霊を見たなんて、大真面目に書くこと自体、気恥ずかしく馬鹿らしいと思ったりもします。実際そんなものは人間の心理状態が作り出す幻覚だと思っている節もあるのですが、その解消し得ない矛盾が作品を作る上での大きなヒントとなりました。

本来描きたい事は幽霊エピソードの先にある、ある町、ある場所で人が生きていた時間は消えさらずに残ったりするのだろうか?それは今を生きる人にとって関係のないことなのだろうか?という事です。
見えないものを描くのがこの映画の主題であるためわかりやすい幽霊像は必要ありませんでした。

この映画はホラーでも怪異譚でもなく、人間の存在に関する話だと思っています。

 スチル4
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2016年6月11日〜7月1日
シアター・イメージフォーラムにて
レイトショー公開 連日21:15より

保坂和志(小説家)
「こうやってぼおっと川を眺めながら、同じように眺めてる人がいたんじゃないかなって想像したんです。そしたら私の目を通して誰かがこの景色を眺めてるんじゃないかな、と思ったんです」と、中沢さんはしゃべっていた(そしてそのときの優二君の顔)。
私はこの映画に自分の小説と同じ世界の手触りを感じた。
しかし小説では抽象的な文字でしかない人と空間が映画ではすべて具体的に映し出される。ほとんどの劇映画で忘れられているこの特性が最大に発揮されて、この映画では、町が「知らない町」になり、人が「知らない人」になったと思った。面白かった!

ステファン・デュ・メニルド(カイエデュシネマ)
謎に満ちた(エニグマティックな)「知らない町」で、大内伸悟は東京を幻想と魅惑の町にしてみせる。
感受性がきわだつ詩人映画作家の誕生だ。(シネアスト・ポエット)

佐々木敦(批評家)

とにかく非常に不可思議な物語で、大半の謎が積み残されたまま新たな謎が加わっていく。幽霊の映らない幽霊譚。不条理極まる転生譚。ジャンル分け不能。奇妙な魅力がある。

矢田部吉彦(東京国際映画祭ディレクター)
「普通の暮らしの中に現われる、あの世との境界線と、時空を繋ぐ回路。まるで、日常レベルのテレンス・マリックのようだ。不思議で、美しい。」

ヴィヴィアン佐藤(美術家/ドラァグクイーン)
「知らない町」。果たして私たちは「なにか」や「だれか」を本当に知るということはできるのだろうか。「自分」自身さえも。。。
輪郭はぼやけ、虚ろい、存在は曖昧になる。世界は知られることを欲していないのかもしれない。

門間雄介(編集者・ライター)

今ここにいない者たちの痕跡のなかで、私たちは生きているという奇妙な実感と、知らない町でふと懐かしさを覚えたり、悲しくてたまらなくなったりする、その名状しがたい感覚を、そのまま映画で表現したような作品。新しい才能に出会えた喜びを噛みしめてる。

坪田義史(映画監督)

誰の視線か誰かの記憶なのか曖昧な茫漠とした時間の流れ。
成仏できずに浮遊する魂のような視点は「知らない町」に迷い込んでいく……。

この映画はボケ味が多い。画面上フォーカスが合って認識できる俳優の台詞は、さして意味があるように思えず、むしろピンボケの背景の中に佇む人の声、郊外都市に建設された人工物の間に生息する草木や虫、空の住居に差し込む光のフレア、天井のプリズム、街灯りのオーブ、リサイクルされる家電、愛着の湧かない家具、 日常にある何の変哲もないものが虚しく映って、誰かがどこかで諦めた世界を物語る。
4年の歳月をかけて完成させた映画作家 大内伸悟の執念を感じた。

狩生健志(俺はこんなもんじゃない/ミュージシャン)

この映画は今どき日本で珍しいくらいわけのわからない映画で、しかも、理屈が通るような通らないような微妙なラインを行き来する、張り詰めた緊張感を伴うような独特の不可解さを持っているので、とても自分好みだった。

佐々木誠(映像ディレクター/映画監督)
10年ほど前に、ある飲み会で霊能力がある、という人に会いました。
その人は、初対面でいきなり、「あなたの部屋に黒いソファありますよね?(あります)その後ろに女の子の幽霊がいます」と私に言い、ご丁寧にその「女の子」の似顔絵も書いてくれました(まったく見覚えがない女の子でした)。
あんまり良い気分はしませんでしたが、その後、特に気にしないでそれまでのひとり暮らしの生活(電気を消してその黒いソファに座ってホラー映画を観たりもしていました)を続けていました。
そのまま合計6年ほどそこに住んでいましたが、実は、その自称・霊能者に会う前からずっとひとりでいる気はしていなかったのです。
基本、私は霊感もないですし、幽霊など信じていません(人並みにその手の話は怖いですが)。
ただ、なんとなく「ひとりではない」という意識がどこかにありました。
そして、なぜかそのことを受け入れていました。
なかなか説明しづらい感覚ですが、理解できない矛盾した世界を受け入れると、それはただの「日常」に過ぎなくなります(ちなみにそこで過ごした6年間はとても充実した楽しい日々でした)。
『知らない町』を観て、その時の私の日常、説明しづらい感覚を思い出し、そういうことだったのかもな、と勝手に納得しました。

篠田千明(演出家)
大きな蟻が町を横断して、境目をぶった切る。
きれぎれの境界線、積み重ねられるようになった部屋のフレームが、”私”と”ここ”を切り離していく。
時間をはみ出してリボン結びされた空間軸の、その端はいつでも解かれてもいいような顔をして、町の路地を先導する。
遠い町に移動した初日の居心地のわるいここちよさのある映画。

滝口悠生(小説家)
人が、もういない誰かのことを考えたり思い出したりすることは、「いない」ではなくて「いる」ことの別の形なのではないか。
この映画は、さしあたり幽霊とでも呼ぶしかない誰かのことを、とてもふつうで自然な者として映している。それで私はそれをとてもふつうで自然なこととして見た。

山口敏太郎(作家、オカルト研究家)
空間やモノに残留する記憶。その記憶の中で生き続ける女とその模造記憶に取り込まれる男。人は共同幻想という幻の海を漂っている。

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